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"ゴールデンスランバー(2009)" [movie-か行]

伊坂幸太郎原作の映画。
ミステリー作家とも言われるけれど、伊坂作品はエンタテイメント性の高い作品ほど、面白いと思う。
今作も、現実と非現実の狭間のような設定がまず興味を引く。
首相公選制が存在する現代、ごく普通の男が首相暗殺の容疑をかけられ、警察組織から逃げ回るという、ストーリー。
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シンプルな設定、容疑をかけられた主人公青柳雅春と仲間たちの青春を背景に、
色んな伏線が張り巡らされた中で逃げる青柳の姿を追う。
アイドルを救った過去を持つ青柳は地元では有名人。
そんな彼を首相暗殺犯に仕立て上げようとする、警察組織まで掌握する用意周到な黒幕は最後まで姿を見せることはない。
けれど、この作品はそういった背景を明らかにするミステリー形式ではなく、
「逃げる」男とそこに関わってくる人物や彼の過去を絡めることで、
ストーリー性を強固にし、一層楽しめるようにしているのだと思う。

主演の堺雅人がはまっている。
少しとぼけた、味のある、人のいい青年。
運送会社で働く、憎めない、けれど好きな女性を逃してしまう少し頼りない役どころ。
彼を取り巻く学生時代の友人たち(竹内結子、吉岡秀隆、劇団ひとり)や、職場の先輩、
逃亡を手助けする犯罪者やなど、その人間模様が興味深い。
そして「生きろ」という周囲のサインにひたむきに従おうとする、その彼の行動に観ている人は引き込まれていく。
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脇役もみな個性的で設定と比べて思わず「にやり」としてしまう場面も。
個人的には青柳を助ける犯罪者「キルオ」と永島敏行演じるヒットマンみたいな警察官(!?)役がツボだった。
荒唐無稽と言っても過言ではない設定、コミカルな設定、
けれど、何となくリアリティを感じてしまうのは、映像化されているからだろうか?
正直言うと昔伊坂作品の「重力ピエロ」を読んだ時はあまり面白いと思えなかった。
この作品は原作を読んでいないこともあるけれど、
やはりこういう設定は映像があるとさらに強さが増す気がする。
それに、伊坂作品にはよくみられるが、地元仙台を舞台にしているため、
創造的でありながらリアリティも伴うことができたのだと思う。

そしてオープニングがラストにつながっているとは。
何となくもやもやして気になっていたものが、ラストですっきりする、その爽快感は結構満足度が高かった。

BEATLES"Golden Slumbers"がところどころでキーとなって出てくるのも良かった。

斉藤和義版の"ゴールデンスランバー"はさらに切ない感じ。こちらも良かった。

彼が音楽も担当しているのだけれど、かなり完成度が高く、映画の雰囲気を本当に盛り上げていたと思う。

私がこんな陰謀に巻き込まれたら、すぐにギブアップしてしまいそうだけれど(笑)。

ゴールデンスランバー(2009)
2009/JPN/139min

監督:中村義洋
原作:伊坂幸太郎
脚本:中村義洋/林民夫/鈴木謙一
撮影:小松高志
美術:磯見俊裕
編集:阿部亙英
音楽:斉藤和義
音楽プロデューサー:安井輝
主題歌:斉藤和義
『Golden Slumbers』
エンディングテーマ:斉藤和義 『幸福な朝食 退屈な夕食』
出演:堺雅人/竹内結子/吉岡秀隆/劇団ひとり/柄本明/濱田岳
渋川清彦/ベンガル/大森南朋/貫地谷しほり/相武紗季/永島敏行/石丸謙二郎
ソニン/でんでん/滝藤賢一/木下隆行/木内みどり/竜雷太/伊東四朗/香川照之

読むべきか、読まざるべきか。

ゴールデンスランバー

ゴールデンスランバー

  • 作者: 伊坂 幸太郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2007/11/29
  • メディア: ハードカバー




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  • 出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント
  • メディア: DVD


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ぐるりのこと [movie-か行]

久々に続けて邦画を。

「二十才の微熱」「ハッシュ!」の橋口亮輔監督が、一組の夫婦を主人公に、
生まれたばかりの子どもの死という悲劇を乗り越え再生していくまでの経過を追った作品。
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妻の家族にダメ出しばかりされている優しいけれど冴えない夫役にリリー・フランキー。
小さな出版社に勤めるまじめな妻役に、木村多江。
彼らが子供を失った後、それを乗り越えてゆくまでを、
淡々とした日常のエピソードの連なりで表現しているだけの話なのに、きちんと観客を引き込む力があるのは、
スタッフとキャストの力が相乗効果を生んで、実を結んだ、というだけの、
とてもシンプルな努力の結果なのかもしれない。
派手さはないけれど、丁寧で、温かい作品に仕上がっている。
ゆったりした間と、人間味溢れるリアリスティックな情感。
木村多江が日本アカデミーで主演女優賞を取った作品であるけれど、
彼女以外の個々の役者の丁寧な仕事も光る。
リリー・フランキーはその独特の存在感だけで許されている感もあるけれど、
この人の間や雰囲気は役者が真似ようとしても難しい、それこそ稀有のキャラクターなので、
そういう意味でこの作品に不可欠な存在だったとも言えるだろう。
彼が法廷画家として採用され、作中いくつも実在の事件をモチーフにした公判の様子が描かれるけれど、
その犯人役の加瀬亮や新井浩文などの演技もまた一見の価値がある。
特に新井浩文の演技は身震いするようなものだった。
ちょっとした法廷のシーンに出てきているだけなのに、驚くほどの存在感。
記者や、法廷画家仲間との絡みや夫婦の先輩や家族との絡みも、
普通の日本の人たち、という印象が、逆に強い印象として残り、この作品を支えている。

お互い愛情表現は下手で、表面上は危うそうに見えながらも、強いきずなで支えられている夫婦。
どんなになっても壊れなかったその絆が二人を救った、その様子が実に丹念に描かれているだけで、
そんな作品を映画として成立させるのには並大抵でない努力があったと思う。
多分、日本文化を理解していないとこのあたりの機微は理解しづらいだろうなとは思う。
偉そうに言う私も、愛し合う夫婦のほんとのところは、きっと理解できていないのだけれど。

普通のことを、普通に描こうとするのが、実はきっといちばん難しいのでは。
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ぐるりのこと。
2008/JPN/140min

監督:橋口亮輔
企画:山上徹二郎
原作:橋口亮輔
脚本:橋口亮輔
撮影:上野彰吾
美術:磯見俊裕
編集:橋口亮輔
音楽:Akeboshi
出演:木村多江/リリー・フランキー/倍賞美津子/寺島進/安藤玉恵/八嶋智人/寺田農
柄本明/木村祐一/斎藤洋介/温水洋一/峯村リエ/山中崇/加瀬亮/光石研
田辺誠一/横山めぐみ/片岡礼子/新井浩文


ぐるりのこと。 [DVD]

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  • 出版社/メーカー: VAP,INC(VAP)(D)
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こちらも結構面白いです。

ハッシュ! [DVD]

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  • メディア: DVD


リリーさんは、あえて、「東京タワー」ではなく、エッセイなどをどうぞ。
途中まで、下ネタかと思いきや、意外と鋭く深層心理をえぐるコメントがあったりします。

美女と野球 (河出文庫)

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  • 作者: リリー・フランキー
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2005/10/05
  • メディア: 文庫


リリー・フランキーの人生相談

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  • 作者: リリー フランキー
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2009/10/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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