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"シュルレアリスム展―パリ、ポンピドゥセンター所蔵作品による―@国立新美術館" [ART]

日曜は久しぶりに快晴で日中は少し暖かく、外出日和。
お昼から、震災後、ずっとクローズしていた英会話教室で久々のレッスン。
一部の外国人の先生方は静岡方面に避難していたそう。
震災などについて色々話したのだけれど、先生(アメリカ人♂)の、
「僕らは長年の歴史に置いて、自分たちの政府を信用していない。
だから、自分の身は自分で守るために多くの国民が銃を所持している。そういう文化だ。
アメリカ政府だけでなく、他のいかなる国の政府も信用していない。
もちろんフランス政府の姿勢(在日自国民へ、日本を離れるよう勧告)は過敏だとも思ったけれど、
今回の福島原発の状況に対する日本政府の当初の甘い見解も信用していなかった」
という言葉が印象的だった。
確かに、日本政府及び東電の対応の甘さが後になって言われ出しているけれど、
何が本当で、何がそうでないのか、見極める判断力と情報収集の努力は自分でもすべきかと。
とはいえ、いまいちばん望まれるのは、周囲で避難している人たちが、一日も早く日常に戻れるようになることだけれど。

英会話の後は、ずっと観ようと思っていた『シュルレアリスム展』を観に、
震災後久しぶりに開館した国立新美術館へ。
シュルレアリスムとは…いまだに何だかよくわからない、けれど気になってしまう。
それが私にとってのシュルレアリスム(笑)。
その昔、学生時代にゼミでお世話になった教授はシュルレアリスムの第一人者で、
その教授にはずいぶんお世話になったのだけれど、
かなり怠け者のゼミ生だった私は、いまいち深いところまでたどり着けずに終わってしまった。
私の映画好きはその教授の課外授業のおかげで幅が広がったと言ってもいい。
いまだに思い出すのが、
教授が授業で「シュール」でも「シュールリアリズム」でもなくて
「シュルレアル(超現実)」「シュルレアリスム(超現実主義)」だと何度も強調していたこと。
あとはブニュエルの『アンダルシアの犬』やシュヴァンクマイエルの作品を観せてもらったときの衝撃と、
シュルレアリスム絵画の源流とも言われるフランドル派ヒエロニムス・ボッスの
『快楽の園』の存在を教えてもらったときの、
あの見てはいけないものを見てしまったような感覚はいまだに忘れられない。
(ボッスの絵は、その後スペインのプラド美術館に現物を観に行ってすごく感動した)
とにかく不肖のゼミ生だったけれど、いまだにこの手の展示があると観にいったり、
ヤン・シュヴァンクマイエルの新作の公開が気になったりする。
(昨年公開すると言われていた新作『サバイビング・ライフ』は一体どうなったんだ…)

さて、展示自体はシュルレアリスムの歴史を紐解くような構成になっていて、
ダダイズム~シュルレアリスムの関わり合いからブルトンの『シュルレアリスム宣言』、
年代を追ってそれぞれの作家の作品が幅広く展示されている。
絵画・写真・映画・彫刻・文章…その表現形態は幅広い。
当時は珍しかったであろう試みに没頭したり、
自我に深く潜り込んでつくられたような作品を眺めているだけで何となく充足してしまう。
ミロやダリ、マグリット、ピカソなど、一般に広く知られた芸術家の作品も多かったけれど、
今回個人的に気になったのはアンドレ・マッソン。
かなり多岐にわたる作品を残しているらしく、いままでノーマークだったけれど面白い。
祝祭的な雰囲気を感じさせる色彩の作品もあれば、砂を取り入れた抽象的かつ渇いた印象の作品も残している。
なんとなく支離滅裂な気もするけれど、芯が通っているような気もする。
他にも気になった作品気に入った作品は数限りなくあったけれど、いちばん気に入ったのはこちら。
エルンストの『最後の森』
Max Ernst.jpg
実物はもっと深い深い青で、時間を忘れるほど引き込まれる作品だった。
横浜美術館に収蔵されている『少女が見た湖の夢』も大好きな作品の一つだが、
この人は有名になっている『カルメル修道会~』のコラージュよりも、
絵画の方が自分の世界観を自由に表すことができていたような気がする。

他にも好きな写真も限りなく。
マン・レイはもともと大好きだけれど、特に今回初めて観たこの一枚『埃の培養』
なんだか月面のような世界観。
manray 001.jpg
そして、ピカソの愛人であったドラ・マールの一連の写真にみられるパラノイア的幻想的な世界観。
delamar 001.jpg

マグリットの理路整然とした、しかし一方で内面と表面のかい離を感じさせる、
切り取られたモチーフが印象的な『秘密の分身』
magrit 001.jpg

一方でフランシス・ピカビアの『スフィンクス』の印象は徹底的な混沌。
しかし差し伸べられた手、つながれた手に希望を見た。

『アンダルシアの犬』はじめ映像作品も興味深かったが、他でも観る機会があるので今回はスキップ。
けれど『野生状態の眼 アンドレ・ブルトンのアトリエ』だけはそれとなく観ておく。
彼のアトリエを写した映像が延々と編集されている。
文章では分かりづらい彼の世界観が可視化され、わかりやすく展開される。
ポンピドゥーセンターの常設展では、実際にアトリエの壁面の一部が買い取られ、そっくり再現されているという。
うーん、実物を見てみたい。

震災後初の週末開館だったこともあり、それなりに混みあっていて16時閉館だったため、
少し物足りなさを感じながらも会場を去る。
余裕があればもういちどくらい観たいくらい。
…と、まだまだ興味は尽きず、書けることもあるけれど、
書いているときりがないのでこの辺に。


-----------------------------------------------------
いとしい想像力よ、
私がお前のなかで
なによりも愛しているのは
お前が容赦しないということなのだ

--アンドレ・ブルトン『シュルレアリスム宣言』
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想像力万歳。


比較的、読みやすい二冊を。

シュルレアリスム宣言・溶ける魚 (岩波文庫)

シュルレアリスム宣言・溶ける魚 (岩波文庫)

  • 作者: アンドレ ブルトン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1992/06/16
  • メディア: 文庫


シュルレアリスムとは何か (ちくま学芸文庫)

シュルレアリスムとは何か (ちくま学芸文庫)

  • 作者: 巌谷 国士
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2002/03
  • メディア: 文庫



そして目から鱗だった『ナジャ』

ナジャ (岩波文庫)

ナジャ (岩波文庫)

  • 作者: アンドレ・ブルトン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2003/07/17
  • メディア: 文庫



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小谷元彦展"幽体の知覚"@森美術館 [ART]

久しぶりの更新。

今回はサボっていたわけではなく、my vaioの液晶が急に乱れるようになり、
ついにはお亡くなりになってしまったので、修理に出してました。
結構昔からsony製品好きでデジカメもサイバーショットですが、
愛機は3年で2回も壊れているので、「vaioは壊れやすい」は本当かなと思う今日この頃。
修理窓口の対応もいまいちでかなり時間もかかったけれど、
この機種特有の不具合だったらしく、マザーボード交換でデータもそのまま、無時手元に。

それにしてもiphoneに替えていてよかったと切実に思いました。
PCが手元になかった間、iphoneがなかったら不便で仕方なかったはず。
でもblogの更新はやっぱりiphoneじゃ無理…so-netブログのアプリは使い方もよくわからず、
アプリ用IDの発行の仕方がいまだよくわかりません。それにしても直ってよかった。

さて、更新できなかった間に見た映画、アートのレビューを少しずつしていこうかなと思います。

先週珍しく用事があって訪れた六本木ヒルズ。
木・金は美術館が夜遅くまでやっていることもあって、覗いてみました。
小谷元彦展"幽体の知覚”
と、その前に、自分へのご褒美ビール&ヒルズの夜景。
20110203.JPG

さて、小谷元彦。
初めて作品を目にしたけれど…、東京藝術大学で彫刻を学び、その後は彫刻にとどまらず、
痛みと恐怖、美しさと醜くさ、生と死、聖と俗の多層的なイメージを幅広い手法で具象化するアーティスト。
人間の不安定なこころの柔らかい部分を、的確にえぐるようなシュールな作品が特徴。
真っ白な会場に、ぽつりぽつりとインパクトの強い作品が、テーマごとに並べられている。
初めは剥製などを使った、リアリスティックな作品を多く展示。
ERECTRO(banbi), 2003.jpg
Electro (Bambi)
エレクトロ(バンビ)2003

Human Lesson (Dress 01), 1996.jpg
Human Lesson (Dress01)
ヒューマン・レッスン (ドレス01) 1996

Skeleton ,2003.jpg
Skelton
スケルトン 2003

そして、『ダイイング・スレイブ(瀕死の奴隷』シリーズでは、
無数の突起を持つ巨大な頭蓋骨が、ゆっくり回り続けている。
語彙が少なくて申し訳ないけれど、とてつもなくシュルレアリスティックな空間。

そして圧巻だったのがこちら。
Inferno.jpg
Inferno
インフェルノ 2008-10

映像を映し出す八面の壁に囲われた空間で、中に入ると滝のごとく水の流れる映像に囲まれる。
その水の流れも時々リワインドしたり、ストップしたり、非現実的空間の体験に興奮。
床も天井も鏡になっていて、本当に吸い込まれそうな気がしてしまう。地に足が付いている感じがしない、浮遊感もある。
なんだか出た後は少し感覚がマヒしているかのような気分になった。

その後のSP2『New born』シリーズは静けさに満ちた、清冽な白の連なりが印象的な作品群。
架空の生き物の骨や化石のようなオブジェを並べた空間は、理科室や博物館を思わせる空気。
SP2 New Born(Viper A), 2007.jpg
SP2 Newborn"Viper"
ニューボーン(ヴァイパー) 2007

そして圧巻のSP4"the specter"シリーズ。
異形の者たちを表したリアリスティックな彫刻群は観る者を圧倒する。
馬も、人も、生きながら皮をはがれ、そのままゾンビになったようなリアルさ。
夢に出てきそうな不気味な迫力。
SP4 the specter -What wanders around in every mind-, 2009.jpg
SP4:The Specter-What wanders around in every mind
ザ・スペクター"すべての人の脳内で徘徊するもの” 2009

SP4 the specter -Arabesque woman with a heart-, 2009.jpg
SP4:The Specter-Arabesque woman with a heart
ザ・スペクター"心臓を持つ唐草女” 2009

そして打って変わって次の『ホロウ』シリーズはまた白く不気味さを湛えた静けさと、
微妙なバランス感覚に満ちた作品群。
hollow.jpg
Hollow:Duplex
ホロウ:デュプレックス 2009

ビデオインスタレーションNo.44は、六本木の夜景をバックに、
小谷自身の血が混じったシャボン玉を映し出す、こちらも痛みとともにある美しさを感じさせられた。

最後のヴィデオ作品はPOPな、でも小谷ワールドを髣髴させる少女の世界を映し出す。

観終わった後に、喪失感と満足感、相反するふたつの感情を湧きあがらせる、
観る者を圧倒し、何かを考えさせる、そんな展示だった。
この人の頭の中は一体どうなっているんだろうと疑わせる、
才能っていうのは、存在するんだな、ということをひしひしと感じさせる作品群。
好き嫌いはあるだろうけれど、アートの力を信じさせてくれる、そんな強さを感じた。

お腹いっぱいでもう観たくない気もするけれど、もういちど一度観たくなるような気もする。

SP Extra malformed Noh mask series half skeleton's twins, 2007.jpg
SP extra Leatherface is sculptoe"World is Beautiful" 2007

2/27まで。


小谷元彦 幽体の知覚 Odani Motohiko Phantom Limb

小谷元彦 幽体の知覚 Odani Motohiko Phantom Limb

  • 作者: 小谷元彦
  • 出版社/メーカー: 美術出版社
  • 発売日: 2011/01/26
  • メディア: 単行本



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発熱~東京都写真美術館~新年の抱負 [ART]

熱を出して寝込んで以来、久々に電車に乗ってお出かけ。
なんだか街が新鮮に見える。
今日は雲が多いからか、空の表情の変化が面白い。
夕暮れ間近な恵比寿で雲の隙間から覗く光が印象的で、横断歩道の途中からついSHOOT。
20110130001.JPG

さて、何しに恵比寿に来たかというと、これを観に来ました。
20110130002.JPG
収蔵作品展 [かがやきの瞬間]スナップショットの魅力
技術的なことはよくわからないけれど、
私はこういうスナップショット的な空気を切り取る何気ない一枚に心惹かれる傾向にあるらしい。
収蔵作品展、ということで、ブレッソンや木村伊兵衛など、以前見た作品もあったけれど、
特別展示で以下の作品群も展示されている。

ポール・フスコ 「RFK Funeral Train」
これが何と言っても一番おもしろかった。
Paul Fusco 001.jpg
Paul Fusco 002.jpg
Paul Fusco 003.jpg
1968年、ロバート・ケネディが暗殺され国葬を行うため、
NYからワシントンDCに電車で遺体を移動させる際に、
電車の窓から哀悼するアメリカ国民の姿を捉えた作品なのだそうだけれど、
老いも若きも、白いのも黒いのも、一斉に駅のホームからJFKを見送っている写真があるかと思えば、
流行りの格好でジャクリーン風のヘアスタイルにサングラスで決めた女性をフィーチャーしたショットや、
スポーツの応援張りに横断幕を掲げて見送る人がいたり、
田舎道の真ん中で、等間隔に背の順に整列して並んで見送る家族らしい一団がいたり、
本来であれば主役として被写体になるであろう、JFKの葬送列車やその棺桶ではなく、
彼を見送る観衆である人々を被写体として、一連の作品群としたところが憎い。
大勢の人々の表情ひとつひとつ見ていてもかなり面白い。

ザ・サートリアリスト(スコット・シューマン)
この人のスナップショットはかなりセンスあると思います。
興味のある方は是非ブログを。
最近タビーちゃんのthe style rookie初めファッションブロガーが取り沙汰されていたり、
雑誌でもwebでも街角ファッションスナップがもてはやされていますが、
この人のそれは、ファッションだけに偏らない、市井を切り取る鋭さも感じられます。
それがいちいちオシャレで心憎いことこの上ない。

鷹野隆大「カスババ」
「カスババ」とは、カスのような場所「カスバ」の複数形、
だそうだけれど、その名の通り、写真の題材にするには???と思えるような作品群。
それが狙い…なのだろうけれど、これはちっとも面白いと思えなかった。

…といったニューカマーに加え、
一番頭に展示されているマーティン・ムンカッチ、
私の聞いたことのない写真家だったけれど、この一枚は見たことがあった。
martin munkacsi 001.jpg
この作品以外にも衣類の動きを軽妙に捉えた作品や、
人が思い切りよく動いている瞬間をうまく捉えた作品など、
「動」の中の「静」の表現に長けた人だなぁと思った。

そして私でも名前を聞いたことのあるリチャード・アヴェドン。
このムンカッチへのオマージュ、カルメンの一枚のこのスタイリッシュなショット!!
richard avedon 001.jpg
個人的には被写体の着ているブランド名も見比べながら楽しめた。
お気に入りはスージー・パーカー、ランバン・カスティーヨのイブニングドレス、パリのカフェ。
richard-avedon-suzy-parker-suzy-parker-evening-dress-by-lanvin-castillo-cafe-des-beaux-arts-paris-august-1956.jpg
うーん、おサレ。

ジャック・アンリ・ラルティーグは従妹や身近な被写体の、
軽快な動きのその一瞬を鮮やかに切り取る手腕が見事。
「ACFグランプリのドラージュ車(1912/6/24)」は、
以前横浜美術館でも観た人と車の対照的な写りこみ方が素晴らしい一枚。

木村伊兵衛はじめ臼井薫、土田ヒロミ、アラーキー、深瀬昌久などの日本の写真家たちは、
人々の表情、何とも言えない物悲しくもおかしみを醸し出す感じがすごい。
森山大道は北海道から数枚。相変わらずの力強さが北の大地とマッチして、素敵。

もう一人、忘れられないのがウォーカー・エヴァンズ。
地下鉄ポートレイトからの12点は、
地下鉄の乗客の、何とも言えない気だるい表情を映した秀作。
dd_evans-subway.jpg
それにしても自分が電車でぼーっとしてる所などあまり撮られたくないものだけれど(笑)。

何気ない作品が多かったけれど、結構満足できる内容の展示だった。


そうそう、もうそろそろ2月になろうかというところですが、
新年の抱負(プライベートバージョン)を3つ。

1 最低3kgのダイエットを敢行。そしてよく歩くこと。
たぶん歩けばすぐ痩せるはず(普段何の運動もしていないから)
ちなみにここ最近病気で寝込むたびに2kgくらいはすぐに減るのですが、すぐにリバウンドします。

2 100冊の本を読み、100本の映画を観る
…映画、の方は、結構過去の作品を観直していたり、
熱出して会社休んで治りかけは家で大人しくDVD観たりしていたので、
今のところ順調なのですが、本の方はまだ3冊目…早くも挫折しそうです。

3 英語ぺらぺらになる
…には1年じゃ無理か。でもなるべく英語を取り入れた生活を心がける。
今度こそ本気で英語習得に向けて頑張る…これも英会話スクールの学費が続かないかなー。
でも簡単でいいので、英語ブログもやってみたいと思う今日この頃。さすがに映画レビューは無理でしょうが。

熱出したおかげで思いがけず5連休!!!!を取ってしまったので、
明日からの会社が恐ろしく憂鬱です。
そしてなんだか私のvaioの調子がよろしくなく(画面が真っ暗になる)、
機種の不具合らしいですがタイミング合えば明日からしばらく修理に出すので、
予約投稿分以降はしばらくブログもお預けになります。多分。

あぁ、憂鬱…。



これ、6月発売らしいですが、興味をそそられるタイトル。
Eyewitness: Brassai, Capa, Kertesz, Moholy-Nagy, Munkasci

Eyewitness: Brassai, Capa, Kertesz, Moholy-Nagy, Munkasci

  • 作者: Peter Baki
  • 出版社/メーカー: Royal Academy of Arts
  • 発売日: 2011/06/06
  • メディア: ハードカバー


Richard Avedon: Photographs 1946-2004

Richard Avedon: Photographs 1946-2004

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: Louisiana Museum of Modern Art
  • 発売日: 2007/12/15
  • メディア: ハードカバー


The Sartorialist

The Sartorialist

  • 作者: Scott Schuman
  • 出版社/メーカー: Penguin (Non-Classics)
  • 発売日: 2009/08
  • メディア: ペーパーバック


RFK

RFK

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: Aperture
  • 発売日: 2008/09
  • メディア: ハードカバー



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東京アートミーティング トランスフォーメーションとオランダのアート&デザイン新言語   [ART]

最近観に行ったのに、時間がなくてすべて回りきれず断念していた
"東京アートミーティング トランスフォーメーション"に改めてリベンジ。
東京都現代美術館は広くて開放的な建物なので、行くと気分が上がる空間です。
20110126001.JPG
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せっかくなので、同時開催している"オランダのアート&デザイン新言語"展も回ることにする。
こちらはトランスフォーメーションよりもずいぶんこじんまりとした印象。
4人のアーティストの作品を展示している。
入るとすぐにジュエリー作家テッド・ノーテンの作品群。
dutch art 002.jpg
無機質なアクリルを駆使した作品が印象的。
そして、家具デザインで有名なマーティン・バース。
シボネでその作品を観たこともあったスモークシリーズは、機能を残したまま燃やし、
クリアーなエポキシ樹脂でコーティングした家具。
こういう発想は凡人には浮かばないだろうなぁと思う。
燃やしたがため不完全な家具を完全に使える形で再現するなんて、すごくアンビバレンツな魅力がある。
maarten_pop_smoke.gif
同じく代表作のクレイ・シリーズ(こちらはワイヤーに工業用粘土をかぶせて成形し作った家具)や、
今回の展示のポスターにもなっているクロックも興味深い。

デジタル時代への警鐘、なんて深い意味はないかもしれないけれど、すごくシンプルなのに、見入ってしまった。
他にもマルタイン・エングルブレクトのポジティブなコミュニケーションをテーマにした作品群、
タケ・トモコの衣食住という日常を掘り起こし、想像力へと転化させる作品群など、
ポップで分かりやすい作品が多かった。

カフェでランチをとった後、今度はトランスフォーメーションへ。
その名の通り"Transformation"(変化、変容)をテーマとした展示。
もう、どこから語ったらいいのかわからないくらいバラエティに富んでいる。
順路を進んでいくうちにどんどんわくわくするような気持ちにさせてくれた。
まず、衝撃を受けるのが、グロテスクでリアルな生物を模した作品で有名なパトリシア・ピッチニーニの『新生児』。
カモノハシと人間のハイブリッドの変異体なのだけれど、しわや肌の質感、髪の毛の生え具合まで、
こんな物作っていいのか!と思わされる位にリアル。
豚も彼女の手にかかるとこんな感じに。
pp 002.jpg
この女の子は作りものだ、と言ってだれが信じるだろう??
pp 001.jpg

ピッチニーニの映像作品『サンドマン』に続いての部屋は真っ暗。
そして四方に配置されたスピーカーから異様な物音が聞こえてくる。
ジャングルのような音、自然界に存在するような音やきらきらする人工音、 
目を閉じて聴いていると不思議とどこかへ連れ去られそうな感覚になる。
しばらく中にいると癖になるような音のシャワー。
次なるスペースでは複数の作家が展示されていた。
中でも特に気に入ったのはシャジア・シカンダーという作家の作品。
パキスタンで細密画をやっていたらしく、緻密な図柄とやさしい色合い、
それでいて少し不安な気持ちにさせるような要素があったりする。
Transformation 003.jpg
そしてマシュー・バーニーの『クレマスター3』
Transformation 001.jpg
いつかその作品の全容を観てみたいと思いつつ果たせていない。
今回はクレマスター3とそれに関連する写真や彫刻作品を展示。
クレマスター3自体はかなりの長編のため、その場で観ることはやはり断念したけれど、
マシュー・バーニーワールド全開の、観ていると痛そうな場面がしょっちゅう出てくる。
血を観るのが嫌いな人にはお勧めできません。美しく狂気的な世界観。

そして世界最年少記録で七大陸世界最高峰登頂を達成した石川直樹の写真作品。
真っ白な雪の中でも印象的だったのがイルリサットの墓地。
白い雪の中に立つ白い十字架が黙示録的な強さを持って迫ってくる。
また、彼のインタビューで構成された映像作品には、エベレスト登頂裏話的要素もあり、
いかに極限の状態で登頂しているのか、その過程を垣間見られる面白いものだった。

そしてトランスフォーメーションを別の視点でとらえた2作品も印象深かった。
ひとつは高木正勝の『イメネ:1、イズミ』『イメネ:0、エウラン』
もうひとつはヤナ・スターバック『高潮を待ちながら』
前者は世界を4原色で見ている鳥の視点で作られた映像で、
後者は犬の背中に乗せたカメラでヴェネチアの街を撮った映像。
どちらもベースは普通の風景でありながら、人間の視点と全く違うものに変容していることが面白い。
大きなオブジェを集めたフロアが最後の展示になるのだけれど、
そこに辿りつくまで、かなりのパワーを消耗させられてしまう、ものすごく力のある展示だったと思う。

この展示をみたからかどうか定かではありませんが、翌日高熱を出して倒れました(笑)。
最近倒れてばかりなので、自分の体がどうにかなっちゃったんじゃないかと、ちょっと心配な今日この頃です。
健康第一。


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  • 出版社/メーカー: ジェネオン エンタテインメント
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北極、南極、世界の果てってそういうことかな。
POLAR ポーラー

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  • 出版社/メーカー: リトル・モア
  • 発売日: 2007/11/16
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POLE TO POLE 極圏を繋ぐ風―石川直樹写真集

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  • 作者: 石川 直樹
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2003/10
  • メディア: 大型本



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異世界への旅 [ART]

夜を待って…というわけではないですが、
秋の夜長に原美術館へ。
崔在銀展~アショカの森~
帰宅途中のサラリーマンとすれ違いつつ、
品川高輪口からバスで原美術館裏の御殿山ガーデンへ。
豪華な邸宅が並ぶ一角は人通りも少なく本当に静かでなんだか異次元の入り口みたい。
時折すれ違う黒塗りの高級車は次元を超えてやってきた霊柩車みたいに見えます。

お屋敷に挟まれて、本当にひっそりと静かなたたずまいの入り口。
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原美術館のファサードは本当に趣があります。
脇には異世界と交流できそうなレトロな通信機、昔ながらの公衆電話が。
201010201948000.jpg

崔在銀は(チェ・ジェウン)の日本の美術館における初個展『アショカの森』は、
インドのアショカ王の故事から発想を得て作られた作品群。

入ってすぐ目の前の部屋に、奥の壁に向かって積み上げられた木の板が敷き詰められ、強烈な樹の匂いに圧倒されます。
その隣の部屋のビデオインスタレーション、その奥のAnother moonという展示はかなり趣のあるものでした。
CHOIV001.jpg
特にAnother moonは、誰もいない狭くて暗い小部屋で、水面に映る木の影を観る、というもので、
ひとりで観ていると本当にタイムトリップしてしまいそうな、不思議な気分に。
CHOIV002.jpg
しんとした、不思議な世界観に通常の時間感覚を失いそうな気になりました。
森村泰昌や宮島達男、奈良美智などの常設展示とのギャップにくらくらしながら観ていきます。
お客さんもほとんどいなかったため、ほとんどの部屋をひとりでじっくり観て回ることができました。
展示の内容によってはかなり暗かったりするので、
知らない人と二人で同じ部屋を観るのは結構気まずいかもしれません(笑)。
CHOIV003.jpg
美術館自体も小さいので、展示の作品数は少なかったけれど、個人的には満足できる内容でした。
崔在銀は、日本で生け花をやったり、ワールドアンダーグラウンドプロジェクトという、
土中に作品を埋めて出来上がりを自然に任せ、数年後に掘り起こしてみると言う、
興味深いプロジェクトをやっていたり、映画を監督したこともあるそうです。
まだまだ世界には興味深いアーティストがいるなと思わされました。

肌寒かったけれど美術館の庭園で一服して、蟲の声に耳を傾けていると、
本当に心が落ち着いていくような気がしました。
都会のオアシスでアートを観て癒される。
贅沢な時間ですね。

残念ながらAMAZONで購入可能な作品集は少ないみたいです

Art random (34) 崔在銀 三上晴子

Art random (34) 崔在銀 三上晴子

  • 作者: Jae-Eun Choi
  • 出版社/メーカー: Kyoto Shoin
  • 発売日: 1990/10
  • メディア: ハードカバー




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ART and FOOD and SHOPPING!! [ART]

さて週末。

友人と国立新美術館の陰翳礼讃を観てきました。
ホントは映画「惡人」を観に行く予定でしたが、私の遅刻でチケットが取れずこちらに変更。

各国立美術館のコレクションの中から、「影・陰」の使い方に着目した作品を中心に展示されていました。
物体の無機質さにメリハリを与え、影の中に含まれるものに想像力を与える、そんな作品の数々。

はじめは一連の写真、
アルフレッド・スティーグリッツの作品もありました。
ハリー・キャラハンが彼の妻を撮った《エレノア》シリーズの一枚は、
彼女を逆光でまったくのシルエットのみで撮った作品で、白と黒のコントラストが際立って美しかったし、
ロトチェンコの《階段》はスタイリッシュな作品のひとつ。
20101018001.jpg
彼の作品は以前庭園美術館でも観たことがありましたが、確かに影の使い方がモダンです。
東山魁夷や平山郁夫などの大御所の絵画もあり、安井曽太郎や岸田劉生などの力強い人物画もありました。
東山魁夷の《映象》は静謐という言葉そのもの。
kaiieisho.jpg

他にもエッチングやエングレーヴィエントの小品、北脇昇の抽象的でユニークな作品など多彩なラインナップ。
浜田浜雄という初めて観た画家の《ユパス》という作品は思い切りシュルレアリスティックで興味深かったりもしました。
調べてみたら浜田浜雄は1915年(大正4)山形県米沢市生まれ、
シュルレアリスムに傾倒したのち、戦争で作品の発表が断絶したのちは広告やグラフィックの分野で活躍した人らしいです。
こういう企画展は新たに知らなかった人の作品に触れられるのも一つの楽しみだったりします。
そしてラストにはマルセル・デュシャンのレディメイドシリーズ。
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MD 002.jpg

デュシャンに続くスペースの高松次郎の《影》も良かったし、
ラストのクシシュトフ・ヴォディチコの《もし不審なものを見かけたら…》というヴィデオ・インスタレーションも面白かった。
ヴォディチェコの作品は薄暗い部屋の壁にヴィデオで背の高い窓状に区切られたスクリーンから、
すりガラス越しに窓の外を見るようなスタイルで、そこに映る情景をみるというもの。
ガラス越しに窓掃除をしている人や電話をしている人、無駄話をする人、メッカに祈る人…
と様々な人の影が映し出されるというスタイルは観ていて意外と飽きないものでした。

美術館のあとはミッドタウン近くの韓国料理『韓』で早めの夕飯。
ビールにプルコギ、普通に美味しかった!!です。
少し寒くなったのでコムタンクッパも身体に優しい味で温まりました。

翌日は昼から英会話、そして原宿に買い物へ…。
お昼ごはんには久しぶりに原宿チャオバンブーでタイラーメンを食べました。
渋谷から歩いて行ったので、渇いた喉にシンハービールが旨い!!
201010171524000.jpg
ここは昔から変わらず美味しいですね。
原宿ではなんとなくふらふらしてForever21やH&Mでプチプラアイテムを漁って終了。
安さに負けて買ってしまいました…。
カーデはアンゴラも入って3000円也。
20101019-006.JPG
ロングニットの裾から見せたら可愛いだろうなと思ってセール価格の1000円で購入。
20101019-003.JPG

今狙っているのがJeffrey campbellのこのブーツですが、なかなか巡りあえません…。
jf 002.jpg
お給料出たらどこかで出会えますように…♪

ロトチェンコの写真集

Rodchenko: Photography 1924-1954

Rodchenko: Photography 1924-1954

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: Konemann
  • 発売日: 1999/06
  • メディア: ハードカバー


Aleksandr Rodchenko: The New Moscow

Aleksandr Rodchenko: The New Moscow

  • 作者: Margarita Tupitsyn
  • 出版社/メーカー: Schirmer/Mosel Verlag Gmbh
  • 発売日: 2001/01
  • メディア: ペーパーバック



マルセル・デュシャン全著作

マルセル・デュシャン全著作

  • 作者: マルセル・デュシャン
  • 出版社/メーカー: 未知谷
  • 発売日: 1995/07
  • メディア: 単行本



PHOTOGRAPH

PHOTOGRAPH

  • 作者: 高松 次郎
  • 出版社/メーカー: 赤々舎
  • 発売日: 2008/09/15
  • メディア: 単行本


浜田浜雄も載っています。

日本シュルレアリスム画家論

日本シュルレアリスム画家論

  • 作者: 鶴岡 善久
  • 出版社/メーカー: 沖積舎
  • 発売日: 2006/07/05
  • メディア: -



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IN CEREBRATION OF WOMAN-麗しき女性たち~マルティーヌ・フランク写真展 [ART]

実家からの帰りに銀座に寄って、見そびれていた写真展へ。
CHANEL NEXAS HALLで開催されていた麗しき女性たち~マルティーヌ・フランク写真展

マルティーヌはベルギー、アントワープ生まれ。
幼少期をアメリカとイギリスで過ごし、マドリード大学を経てパリのエコール・ド・ルーブルに学ぶ。
LIFEでのアシスタント経験を経てマグナムへヴュー・エージェンシー、ビバ・エージェンシーを経てマグナム正会員へ。
女性ながら世界を回り写真を撮り、表題の通り、今回の展示はそんな彼女が女性を撮った作品を中心に展示してあった。
展示の導入部は"Looking & Feeling"と題され、
高齢者施設の老女の無垢な笑みを皮切りに、女性らしい視点で柔らかく、対象を切り取ってゆく。
茶目っ気たっぷりの一枚。
martine franck 002.jpg
独特な視点が新鮮な驚きを与えてくれる。
martine franck 001.jpg
柔らかく、穏やかで、そして時に激しく、美しい。
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Le Grand Palaisのポール・デルヴォーの絵画を覗く老女の構図は秀逸。
原画は幻想的な世界観で、マルティーヌの作品はその世界観を踏襲して浄化させる形で撮られているのがわかる。
PDelvaux0319.jpg


その次のシークエンスはムンバイやマラケシュ、トランシルバニアなど、世界を巡って取られた写真たちや、
パリの不法移民の母子たちを撮ったシリーズ。
先入観があるからかもしれないけれど、やはり男性が撮る写真より優しさを感じる。
そのほかにも働く女性をテーマにしたシークエンスでは、
工場で働く労働者から、映画監督、ParisのキャバレーCrazy horse saloonの踊り子のバックステージ、
祇園の芸妓まで、みな生き生きと、誇りに満ちた表情が印象的だった。
中でも構図が面白いなと思ったのは、アニエス・ヴァルダを鏡越しに取った一枚。
目の前にはフィルムが積み上げられ、フラットな表情のアニエスが、すごくナチュラルに撮られている。

そして後半は彼女が得意としているだろう、ポートレートたち。
緊張感をといて、フローな状態でレンズを見つめる女性たちの姿が素敵だった。
ジャンヌ・モローの力強さ、
martine franck 004.jpg
エマニュエル・べアールのコケットリー。
martine franck 005.jpg
パロマ・ピカソからチベットの尼僧まで。
あらゆる女性たちの真の美しさを切り取る写真。
ラストのFamiliesと題された写真の中には、
夫である写真家、アンリ・カルティエ=ブレッソンの優しげな笑顔も。

階下のシャネルの店舗で更なる目の保養も。

素敵な女性になるには、まだまだ年月と修養が必要だけれど、
本当に観に来られて良かったなぁと思う展示でした。

この展示の作品中心に収録されている、素敵な写真集。

Women / Femmes

Women / Femmes

  • 作者: Martine Franck
  • 出版社/メーカー: Steidl
  • 発売日: 2010/07
  • メディア: ハードカバー


Martine Franck

Martine Franck

  • 作者: Louise Baring
  • 出版社/メーカー: Phaidon Press
  • 発売日: 2007/03/01
  • メディア: ハードカバー



幻想的なポール・デルヴォーの作品も、なかなか素敵です。

Paul Delvaux: Odyssey of a Dream

Paul Delvaux: Odyssey of a Dream

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: Exhibitions Intl
  • 発売日: 2007/11/30
  • メディア: ペーパーバック



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”ブリューゲル版画の世界~魔術的芸術" [ART]

ネーデルラントの巨匠ピーテル・ブリューゲル。
彼の作品を中心に、同時代の版画家たちの作品の展示を見てきました。
↓ブリューゲル氏の自画像。
brueghel.jpg
『ブリューゲル 版画の世界』
土曜日ということもあって、とにかく混んでました!
しかも展示物が緻密な版画ということもあって、
皆が皆、じっくり細部まで見る姿勢なので、なかなか列が前に進まない…。

ブリューゲルは農民画家と呼ばれ、生き生きとした庶民たちの姿を描くことで有名だったけれど、
こういう版画の作品を残しているとは知りませんでした。
版画と絵画の手法的な違いは、正直素人なので、どれほどのものかよくわからないけれど、
私が感じたのは、ブリューゲルは対象には常にリアリスティックでシニカル、けれど愛情深いタイプで、
非常に多作でストイックな人だったのではないだろうかということ。
版画制作の手法の緻密さと相反するようなモチーフ、
特にアルプスの山々、風景画の雄大な雲のうねりや、山々のダイナミズム、には目を奪われる。
一方で、庶民の祀りや宗教的寓意画での群像は微細で興味深い。
かつて、とんでもない衝撃を私に与えてくれた異端の画家ヒエロニムス・ボッスを思わせる、
不可思議な生き物もモチーフに描かれた"七つの罪源"シリーズは圧巻。
そして、どこかで見た気がして心に引っかかっていた『バベルの塔』は、
家に帰って調べてみたら、大学4年のゼミのテキスト、アンドレ・ブルトンの『魔術的芸術』に掲載されていた、
油絵の版画版でした。
brueghel_babel00.jpg
ボッスもブリューゲルも大学のゼミで知りました。
こんな世界(キリスト教の深い宗教観や土着の文化)は、
日本人には理解し難しいところもあるかもしれないけれど、
中世ヨーロッパの世界観・倫理観を体現していて、純粋に見てみたいと思わせるパワーを持っています。
ボッスに至っては本物の"快楽の園"を見てみたくて、マドリードのプラド美術館にも行ったし…。
ちなみにゼミのタイトルはそのまま「魔術的芸術」だったけれど、
映画の授業しか出ず、講義はほぼサボり…今思えば良く卒業できたと思います…(笑)。
当時山本直樹の漫画をテキストにしたり、映画を観たり、
教授の趣味がばっちり出た面白いゼミだったけれど…。
卒論だけはなぜだかわからないけれど、結構ほめられました。

ともあれ、ブルトンの『魔術的芸術』は少し特異な本ですが、体系的で興味深いと思います。
魔術的芸術

魔術的芸術

  • 作者: アンドレ ブルトン
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2002/06
  • メディア: 単行本


ブリューゲル (ニューベーシック) (ニューベーシック・アート・シリーズ)

ブリューゲル (ニューベーシック) (ニューベーシック・アート・シリーズ)

  • 作者: ローズ=マリー・ハーゲン/ライナー・ハーゲン
  • 出版社/メーカー: タッシェン
  • 発売日: 2002/12/19
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


ブリューゲル (アート・ライブラリー)

ブリューゲル (アート・ライブラリー)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 西村書店
  • 発売日: 1999/01
  • メディア: 大型本



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"いのりのかたち"@根津美術館 [ART]

特にどの宗教を信じていて、どの宗教を好きだとかいうことはないのですが、
宗教的な物を観るのはなぜか好きだったりします。
見ていると、心が落ち着くと言うか。
旅行に行っても、教会や聖堂や寺院ははずせないスポットだったりします。
人は文明を築くとともに、常に宗教と歩み、そこに救いを見出してきました。
個人的な意見なのですが、原始的宗教と、原始的芸術はともに
アートの発展にすくなからず宗教が寄与していると言っても過言ではないのでは。
アートと宗教はプリミティブな時代から常に寄り添っている気がします。

さて、リニューアルしてから初めて、根津美術館に行ってきました。
実業家で茶人の初代・根津嘉一郎の収集品を展示するためにつくられた、
日本には珍しい戦前からの歴史がある私立美術館です。
リニューアルした建物の設計者は隅研吾。
去年彼の設計で有名な長崎美術館を訪れましたが、
こちらもちょっと感銘を受けるくらいの迫力と洗練された雰囲気の建物でした。
エントランスの佇まいからすでに、自然と心が穏やかになるような作りになってます。
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さて、現在の展示は"いのりのかたち 八十一尊曼荼羅と仏教美術の名品"
img_exhibition_inori.jpg
http://www.nezu-muse.or.jp/jp/exhibition/index.html
柔和な菩薩像や仏像、所蔵品の中でも目玉である八十一尊曼荼羅も見事だったけれど、
目に焼き付いて離れなかったのは、一面六臂の愛染明王像。
愛染明王は「煩悩と愛欲は人間の本能でありこれを断ずることは出来ない、
むしろこの本能そのものを向上心に変換して仏道を歩ませる」とする功徳を持っているそうで、
何とも現世の人間に都合のいい仏です。
見た目は真紅に染まった忿怒相(怒ったような顔)であるけれど、
その名が示すとおり「恋愛・縁結び・家庭円満」などをつかさどる仏。
そのギャップにしばし見入りました。
こんな仏だったら私も信仰できるかもしれません(笑)。

展示を観た後は庭園へ。
ここを見ると根津氏の財力がいかに豊かなものだったか、想像されます。
201007251634002.jpg
201007251634000.jpg
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数々の茶室や宗教的な彫刻など、ここが青山だということをものの見事に忘れさせてくれます。
が、…蚊がすごかった上に、スズメバチに注意とさえありました(笑)。

ちょっとだけ、都会で癒された一日でした。



仏教美術事典

仏教美術事典

  • 作者: 中村 元
  • 出版社/メーカー: 東京書籍
  • 発売日: 2002/07
  • メディア: 大型本


密教の美術―修法成就にこたえる仏たち (仏教美術を極める)

密教の美術―修法成就にこたえる仏たち (仏教美術を極める)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 東京美術
  • 発売日: 2008/03
  • メディア: 単行本


バーミヤーン、遙かなり―失われた仏教美術の世界 (NHKブックス)

バーミヤーン、遙かなり―失われた仏教美術の世界 (NHKブックス)

  • 作者: 宮治 昭
  • 出版社/メーカー: 日本放送出版協会
  • 発売日: 2002/01
  • メディア: 単行本



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素敵な大人たちの夕べ~dictionary CLIBKING ARTSCHOOL開校 [ART]

FREE PAPER "dictionary"

クラブキングの桑原茂一氏を編集長に、
未来を明るくするための知恵を満載した辞書、
「ディクショナリー」でありたいというコンセプトで1988年に創刊されたフリーペーパー。
世界的なアーティストの対談があったり、フリーなのに驚くほど濃い内容で一時期は毎号読んでいました。
最近なんだか見てなかったなーと思っていたけれど、変わらず発刊されていたようです。
その桑原茂一氏がmedia CLUBKINGでフリーペーパー"dictionary"を教科書に、
働く大人が学ぶための「学校」=ART SCHOOLを開校するとのこと。
渋谷区神南に、ART SCHOOLの校舎となる「ディクショナリー倶楽部」まで設立。
校長は脳科学者として有名な茂木健一郎氏で、
毎回色んなゲストが、その時々のテーマでトークショーなどのイベントを行っていくようです。
その開校イベントに行ってきました@渋谷神南・ディクショナリー倶楽部。
イベントのメインは茂木健一郎×リリー・フランキー!!
この手のイベントはあまり行ったことはなかったけれど、この組合せに惹かれました。

夏の夕暮れと言うと涼しげだけれど、とにかく暑い中、神南までてくてく歩いて行くと、
桑沢デザイン研究所の裏手に、木々に囲まれたディクショナリー倶楽部の建物が。
水道局の地所を借り、プレハブをかなり手間暇かけて改装したらしいです。
出店とDJブースまであって、いい感じの雰囲気です。
室内はトークイベント待ちの人たちで徐々に混み始めていました。
201007222011000.jpg

イベント自体は二部構成になっていて、

第一部がトークショー
茂木健一郎校長 『未来を変える議論をしよう』
リリー・フランキー『アートについて語ろう』

第二部が対談
ディクショナリー倶楽部 校庭にて茂木&リリー対談トーク

という流れ。

出店でCOEDOビール(この間の休みも飲んだおいしい地ビール)とカレーを食べながら、
2階建て校舎のいちばん広い部屋で、茂木さんの登場を待ちます。
150名くらいがぎゅうぎゅうに床に座って待つので、クーラーなどぜんぜん効かず。
思った以上に熱いトーク(若干お酒も入っていたからか!?)で、
あちこちに脱線しながらも、それでも理路整然と話をまとめてしまうところはすごい。
内容はUSTREAMでも公開しています。

キーワードは偶有性。
アリストテレスの用語で、
「その存在が必然ではないが、それが存在するとしても、
そのゆえに、いかなる不可能も生じてこないもの」
意味がわかりません(笑)。要は必然性の逆ですね。
偶有性を必然と捉え、生きていくことの大切さについて話していましたが、
要は後悔したり、運や人のせいなんかにしないで、自分の生きる道を強く生きて行こうということですね。
人って弱いから、なかなかそんなことはできませんが、それができる人は確かに強いと思います。

その後は外でリリー・フランキー。
ゆるい感じで、茂木さんとは対照的にゆったりリラックスして聞けました。
テーマは『アートについて語ろう』だけど、
そんなことどうでもいいよね、でもね、という感じで、
とてもわかりやすく、リリーワールドを展開してくれました。
リリーさんのギター弾き語り、そしてみんなで合唱、なんてのもあり、
お酒も進んで、いい感じの夕べになりました。
201007222047000.jpg

その後はそのまま対談に突入。
茂木さん×リリーさんがメインで、
観客を呼んで彼らの悩みなんかをいじったり、桑原さんが入ったり、
途中なんと俳優の伊勢谷友介さんとその友人で“Rebirth Project”を一緒にやっている亀石さんも飛び入り参加。
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近くのNHKで撮影があった後みたいでしたね。
顔がめちゃくちゃ小さくて、物腰や控えめな発言もストイックな感じで、本当に素敵でした。
私は伊勢谷さんとは同い年、誕生日が一日違い、血液型も同じ、
しかも子供時代に函館に住んでいたという、
運命を感じずにはいられないような共通点があるのですが(笑)、
人としての仕上がり具合があまりにも違いすぎて、
見ているだけでなんだかいい空気をもらえるような気がしました。役者ですね。
男にも女にも惚れられる人なんだろうなぁという佇まいでした。

対談中にも出てきた話ですが、茂木さんもリリーさんも桑原さんも伊勢谷さんも、
自分を持っている、「芯のある」人という感じで、かっこよかったです。
とってもピュアな部分もあるけれど、大人で、熱くて、自分のやりたいことをしっかり持っていて。
素直に素敵だなぁ、と思いました。

暑さに負けて、ついついスパークリングワイン飲みすぎてしまいましたが、本当にいい夜でした。
たまにはこういう文化的なイベントもいいもんですね。

ところで、恥ずかしながら存じ上げませんでしたが、
桑原茂一氏は日本のサブカルシーンにおいてはものすごい人らしいです。
岡崎京子の漫画のセリフでしか知らないけれど、
伝説的なクラブ「ピテカントロプス・エレクトゥス」をOPENしたり、
昔々初の日本版「ローリング・ストーン誌」を編集したり(スタッフの不祥事で廃刊の憂き目にあったらしい)。
最近あまり読んでいなかったけれど、dictionary、やっぱり根性の座った、
ポリシーのある素敵なフリーペーパーだと思います。

皆さんも街で見かけたら是非!
http://dictionary.clubking.com/

最後に・・・校舎の入り口にいたオブジェの犬。
201007222156000.jpg


THE DICTIONARY OF PEOPLE 001

THE DICTIONARY OF PEOPLE 001

  • 作者: 桑原茂一
  • 出版社/メーカー: クラブキング
  • 発売日: 1994/08/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


茂木さんは著書多過ぎて…比較的新しいやつを。
脳が変わる生き方

脳が変わる生き方

  • 作者: 茂木 健一郎
  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2009/11/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


ひらめき脳 (新潮新書)

ひらめき脳 (新潮新書)

  • 作者: 茂木 健一郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/04/15
  • メディア: 新書


つい最近出たらしいです、文庫本。もう一度読み返そうかな。
東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン (新潮文庫)

東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン (新潮文庫)

  • 作者: リリー・フランキー
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/06/29
  • メディア: 文庫


こんなぐうたらしてそうなのに鋭いエッセイ…やはりタダモノではないと思います。
美女と野球

美女と野球

  • 作者: リリー・フランキー
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 1998/11
  • メディア: 単行本


伊勢谷さんが一緒に来ていた亀石さんと撮った映画。まだ未見です…。
カクト Special Limited Edition [DVD]

カクト Special Limited Edition [DVD]

  • 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
  • メディア: DVD


これを観たとき、伊勢谷さんを「いい役者だな」と改めて認識しました。
DISTANCE(ディスタンス) [DVD]

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  • 出版社/メーカー: バンダイビジュアル
  • メディア: DVD



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