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"PRECIOUS: BASED ON THE NOVEL PUSH BY SAPPHIRE-プレシャス"(2009) [movie-p]

評判を聞いて気になっていたものの、見逃してしまっていた作品。
下高井戸シネマでやっていたのを運よく観ることができた。

1980年代の黒人貧困層の日常が舞台。
当時のハーレムの実態をリアルに描いている。
主人公はクレアリース=プレシャス・ジョーンズ。
スモウレスラー並みの体格にふてぶてしい顔。
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16歳なのにまだ中学生に通い、
実の父親との間の、しかも2人目の子供を妊娠中。
近親相姦の結果からかダウン症の長女とは、普段は会えない生活を送る。
学習意欲がないわけではないのに、父親の性的虐待、母親の暴力でまともに学校も通えず、
ただ生き延びるだけの毎日。
私が16のときに感じていた悩みなんて本当に些細なことに思えるくらい、苛酷な状況。
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そんな彼女が、退学させられた中学の校長に勧められて訪れたフリースクールで、新しい世界と出会う。
ミズ・レインという愛情に溢れ、信念をもつ教師との出会い、
同様に苛酷な境遇の中でも、何とかスクールに通おうとする陽気なクラスメートたちとの出会い。
特にミズ・レインとの交換日記のようなノートのやり取りをはじめてからは、
勉強の楽しさを覚え、二人目の子供を産み、大学にも行って、ふたりの子供を自分の手で育てたいと願うようになる。
そんなプレシャスに、人生は更なる試練を与える…。

とにかくあらゆる面で"強さ"を感じる映画だった。
ストーリー運びや場面転換に無理やりな感じがしたり、一方では物足りなさを感じることもあったけれど、
観る人をぐいぐい引き込んでゆく強さがある。
初めての映画出演でアカデミー賞にまでノミネートされたプレシャス役のガボレイ・シディベもすごかったが、
彼女の母親役のモニークには心の底から驚かされた。
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ただ娘を虐待し、いじめ抜く役と言うだけでなく、愛していた夫が娘を性的虐待し、その娘が子供を産むと言う、
ひどく屈折した状況に身も心も破壊させられたひとりの女性の役を見事に演じ切っていた。
アカデミー賞助演女優賞は当然の結果だと思う。
映画の後半に出てくる、娘とソーシャルワーカーと、三人で話し合いを持つシーンでの彼女の演技力は必見。
それにしてもこの母娘、並ぶととんでもない迫力(笑)。
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また、プレシャスを導く教師役のミズ・レインにポーラ・パットン。
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彼女の凛とした美しさも見逃せない。

他にもちょっとした役で有名どころが参加しているのにも驚いた。
ソーシャル・ワーカー役にマライア・キャリー。
あまりに地味な風貌なので最後まで気づかなかった。
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そしてプレシャスが少し恋心を抱く看護師役になんとレニー・クラビッツ。
こちらも雰囲気があまりにナチュラルで、最後まで誰だろうと悩んでいたけれど、
クレジットを見て心の底で「あぁ、レニー・クラビッツかぁ」とひとりため息をつくことに。
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彼も参加しているが、音楽もなかなか良かったと思う。

とにかく、こういう映画をみると、やはり役者の存在感はすごいと感嘆せざるを得ない。
ちなみに製作にはアメリカでは飛びぬけて有名な黒人のテレビ司会者、オプラ・ウィンフリーも名を連ねていて、
そんな有名な彼女をミズ・レインに「知らない」と言わせる小ネタも仕込まれている。

さて、劇中プレシャスがときどき観る白昼夢も映像としてところどころに挿入されるのだけれど、
そんな彼女が夢見るのは華やかなレッドカーペットの上やショービズの世界で活躍する自分。
色の白い、キュートな彼氏に愛され、みんなに注目を浴びる存在になること。
十代の女の子なら誰でも少しはこういう夢想をしたことがあるだろう。
けれど、そんな現実味のない夢とは別に、だんだんとリアルな自分の夢を確立していくプレシャスの姿は、
観ていて心底応援したくなる。
描かれている内容はとてもハードなものだったけれど、
「自分の力で人生は変えられるかも」という気持ちを思い出させてくれる映画だった。
何より、父親にレイプされるという悲惨な経験の結果として産むことになった子供たちなのに、
彼らを純粋に愛するプレシャスの姿が良かった。
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きっと人生は自分次第。


PRECIOUS: BASED ON THE NOVEL PUSH BY SAPPHIRE
プレシャス
2009/USA/109min

監督:リー・ダニエルズ
製作総指揮:オプラ・ウィンフリー/タイラー・ペリー/リサ・コルテス/トム・ヘラー
原作:サファイア『プッシュ』
脚本:ジェフリー・フレッチャー
衣装デザイン:マリナ・ドラジッチ
編集:ジョー・クロッツ
音楽:マリオ・グリゴロフ
出演:ガボレイ・シディベ/モニーク/ポーラ・パットン/マライア・キャリー/シェリー・シェパード/レニー・クラヴィッツ

原作は実際フリースクールで教鞭を撮った経験もある作家サファイアの"Push"
やっぱり原作があるものは読んでみたくなる。

プレシャス (河出文庫)

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"PUBLIC ENEMIES-パブリック・エネミーズ"(2009) [movie-p]

ここしばらくなかったほどに、"映画らしい映画"を観た。
ジョニー・デップ主演の『パブリック・エネミーズ』

大恐慌時代にその義賊的な振る舞いとカリスマ性で世間を騒がせた伝説のギャング、
ジョン・デリンジャーと、彼の運命の女性ビリー・フレシェットとの愛、
彼を追い詰める捜査官メルヴィン・パーヴィスとの攻防を描いた映画。
アクションシーンのテンポの良さ、当時の風俗を窺わせる衣装、セット、
役者陣の実力の高さ、魅力、ともに手放しでのめりこんで観られる作品です。
何よりジョニー・デップ演じるデリンジャーの男前なこと!!!
見た目だけではなく、そのポリシーが大衆の心をつかんだことは間違いない。
「奪うのは汚れた金持ちの金だけ」
「仲間は最後まで裏切らない」
「愛した女は最後まで守りぬく」
めったにないことだけれど、この映画は結構女目線で観てしまいました…仕方ない(笑)。
あんな口説かれ方をしたら絶対地獄の底までついて行ってしまいます。
なんか自分の経験とついつい引き比べてしまうけれど(笑)。

刹那的に見えるのに深い愛情を育むことができるなんて、究極の愛だなと思う。
一本筋の通った男は観ていて清々しい。
女性側も然り、相手役のマリオン・コティヤールが捕まり拷問され、
それでもなお気丈にデリンジャーを守り抜く姿も美しかった。
クリスチャン・ベイルは昔はインソムニアなんかでちょっとばかり逝っちゃっている役が印象深かったけれど、
酷薄そうな薄い唇と筋の通った高い鼻、
佇まいすべてが捜査官のキャラクターと合っていた。

観終わった後、以前ジョニー・デップが、ひとつとして同じようなキャラクターを演じないことについて、
こんなようなことを語っていたのを思い出した。
「自分が退屈してしまったら、観客も退屈してしまう。だから同じような役をやらないんだ」
どんな世界でも新しいことへの挑戦は尊い。
モデルのデリンジャー自身もそんな人生を歩んだんじゃないかと思う。

"PUBLIC ENEMIES-パブリック・エネミーズ"(2009)
監督: マイケル・マン
原作: ブライアン・バーロウ
撮影: ダンテ・スピノッティ
衣装デザイン: コリーン・アトウッド
音楽: エリオット・ゴールデンサール
出演: ジョニー・デップ/ジョン・デリンジャー
クリスチャン・ベイル/メルヴィン・パーヴィス
マリオン・コティヤール/ビリー・フレシェット



Public Enemies: America's Greatest Crime Wave and the Birth of the FBI, 1933-34

Public Enemies: America's Greatest Crime Wave and the Birth of the FBI, 1933-34

  • 作者: Bryan Burrough
  • 出版社/メーカー: Penguin (Non-Classics)
  • 発売日: 2009/04/29
  • メディア: ペーパーバック

映画「パブリック・エネミーズ」オリジナル・サウンドトラック

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  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック クラシック
  • 発売日: 2009/12/09
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