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"CAPA in Love & War-キャパ・イン・ラブ・アンド・ウォー"(2002) [movie-c]

以前、so-netブロガーのkenさんに勧めていただいていた、ロバート・キャパのドキュメンタリー。
kenさんの素敵なレビューはこちらです。

キャパは報道写真家集団マグナムを創設した、多分いまだに世界一有名な報道写真家だろう。
ハンガリーからの亡命以来、激烈な好奇心に支えられたとどまるところを知らない抜群の行動力で、
報道写真家としての実績を残してゆくキャパ。
以前読んだリチャード・ウイーランの伝記で、その生涯の大体のところを知ってはいたのだけれど…。
この作品では存命する彼の友人、知人の証言をベースに、彼の作品を通して彼の生涯が語られてゆく。
やはり実際の映像、その時々の彼の作品を目の当たりにしながらその生涯を追うのは、
映像の力の相乗効果で、いい意味で印象的な体験になった。

このドキュメンタリーを観ていると、
彼を取り巻く人々が、いかに彼を愛していたか、彼がいかに人を好きだったか、がしみじみ伝わってくる。
彼は、現在報道写真家集団として確固たる地位を築いているマグナムの創設者のひとりであり、
イングリッド・バーグマンを含む、数々の魅力的な女性に愛され、映画にまで出演した経歴を持つ。

けれど。

そんな肩書きや名声ではないところに、キャパの魅力はあると思う。
彼はいるだけで周りを明るくし、被写体は彼がいることがまったく気にならないほど自由でいられたそうだ。
一方でひとところに落ち着けず、ときにはギャンブルにはまったり、映画界に片足を突っ込んだり。
長短併せ持つ強烈な、しかし愛すべきキャラクター。
そして、その魅力がそのまま彼の写真には現れていると思った。
色々語られる興味深いエピソードのひとつにこういうものがある。
キャパ、アンリ・カルティエ=ブレッソン、デイビッド・シーモアという、
マグナムの創立者のうちの三名(もう一名はジョージ・ロジャー)。
彼らが撮ったパリの人々の写真を比べてみたときに、その個性の違いがそのまま写真に現れているというもの。
D・シーモアは暗く、シリアスで、ブレッソンは構図に凝り、キャパは縦に長い構図で力強い作品が多い。
言葉で説明すると難しいのだけれど、見ると一目でその違いを認識できる。

昔、私が報道写真にまったく興味がなかった頃ですら、キャパの名前と彼の代表作は私の記憶に刻まれていた。
印象的な写真とはそういうものだという気がする。
どこがどう、という説明ができないのに、目を奪われる。
キャパの撮る写真はそういう魅力に溢れ、彼の人間性をそのまま体現するものだった。
だからあらゆる人の目を引き、忘れられない印象を残す。
それは彼の人生でいちばん驚かされるエピソードのひとつ、
「ロバート・キャパ」は実は捏造された架空の人格(アメリカの有名な報道写真家というふれこみだった)、
というエピソードに集約される気がする。
架空の人格さえ自分のものにして、自らが求める世界を作り上げていったキャパ。

彼は残念ながら40歳という若さで、インドシナで地雷による爆死を遂げるけれど、
その短い人生で彼が得た濃密な経験に思いを馳せると、
その濃密な経験を得るがための彼の情熱の強さに尊敬の念を禁じえない。
万難を排しても、自らの情熱が向かう場所を探したキャパ。
彼のようにまっすぐに生きられたら、と思う。
一度でいいから会ってみたかった、とも思う。
そうしたら、無条件で惚れてしまったかもしれない。

私の情熱の行く先はどこだろう??
capa in L&W.jpg

CAPA in Love & War キャパ・イン・ラブ・アンド・ウォー
ROBERT CAPA: IN LOVE AND WAR
2002/USA/90min

監督:アン・メークピース
撮影:ナンシー・シュライバー
音楽:ジョエル・グッドマン
ナレーション:ロバート・バーク
出演:ロバート・キャパ/イザベラ・ロッセリーニ/スティーヴン・スピルバーグ
アンリ・カルティエ=ブレッソン/コーネル・キャパ/フランソワーズ・ジロー
声の出演:ゴラン・ヴィシュニック

キャパ・イン・ラブ・アンド・ウォー [DVD]

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  • 出版社/メーカー: レントラックジャパン
  • メディア: DVD


文中にも出てくるキャパの伝記。
実は沢木耕太郎の訳で、かなり魅力的な本になっている。
キャパ その青春 (文春文庫)

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  • 作者: リチャード・ウィーラン
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2004/03/12
  • メディア: 文庫


キャパ その戦い (文春文庫)

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  • 作者: リチャード・ウィーラン
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2004/04/07
  • メディア: 文庫


キャパ その死 (文春文庫)

キャパ その死 (文春文庫)

  • 作者: リチャード・ウィーラン
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2004/05/12
  • メディア: 文庫

彼の自伝的作品。
ちょっとピンぼけ (文春文庫)

ちょっとピンぼけ (文春文庫)

  • 作者: ロバート・キャパ
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1979/05
  • メディア: 文庫


欲しいけれどまだ手に入れていない作品集

Robert Capa: The Definitive Collection

Robert Capa: The Definitive Collection

  • 作者: Richard Whelan
  • 出版社/メーカー: Phaidon Press
  • 発売日: 2004/11/01
  • メディア: ペーパーバック


ロバート・キャパ 決定版

ロバート・キャパ 決定版

  • 作者: リチャード・ウェラン
  • 出版社/メーカー: ファイドン
  • 発売日: 2004/11
  • メディア: 大型本



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コメント 4

moz

記事を読ませて頂いて、とても興味がわきました。
写真家とかあまり知らないのですが、少し勉強してみようかと・・・。 ^^
やはり、人間性って作品に出るものだし、それなしにはできないものなのでしょうね。
by moz (2010-08-10 05:36) 

movielover

>>mozさん

コメントありがとうございます。
何か作品を残す人は特に、
人間性=作品ってところはありますよね。
時には、「こんな人がこんな作品を!!」ってこともなくはないのですが(笑)。
by movielover (2010-08-19 17:25) 

ken

報道写真とキャパに対するご自身との距離感を綴りながら、最後に
「私の情熱の行先は…」と吐露されたのがとても印象的なレビューでした。
写真は映画と違って、たったワンカットで作家の個性が出ますね。
それがおもしろくて僕も写真を撮り続けているんだと思います。
娘が産まれて今は、娘ばかり撮っていますが、そろそろ外に撮りに行きたいと思いました。

by ken (2010-08-24 12:06) 

movielover

>>kenさん

コメントありがとうございます。

ここ一年くらい壁にぶち当たってるので、
情熱だけはたっぷりあるのになかなか発揮できません。
動きたいのに動けなくって。
キャパを見てて羨ましくなってしまいました。
確かに写真はワンカットで個性が出ますよね。
娘さんの写真もきっと将来喜んでもらえると思いますよ~
新しい写真アップしたらぜひ拝見させてください。


by movielover (2010-08-24 23:54) 

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