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"Changeling-チェンジリング"(2008) [movie-c]

好きな監督の一人である、C.イーストウッド監督作品で、
当時それなりに話題になっていたにもかかわらず見逃していた作品。
長い作品だし、とても重いテーマだから、余裕のあるときに観ないと、と思って最近借りてみたけれど、
ワールドカップのおかげで(笑)なかなか手が出せなかった。

結論から先に言ってしまうと、当然のようだけれど、凄くよかった。

冒頭、『この作品は真実の物語である』、と静かに謳い、
観るもの皆に「こんなことが現実にあって本当に良いのだろうか」という思いを抱かせる。
このテーマが選ばれたというところに、イーストウッドの興味関心のベクトルが、
"正義"というキーワードにあるところを改めて感じたし、
時代考証や事件への徹底的な読み込みがなされているのも感じた。
揺るがない土台と優れた脚本、優れた役者、そして映画としての物語の再構築。
すべてが調和が取れ、適度な緊張感とスピード感に彩られた佳作。
イーストウッドはフィクション、ノンフィクションにかかわらず、
自らの視点をはっきりさせてテーマに取り組んでいるように思える。
出演はしていないまでも、イーストウッドの大黒柱的な存在感は常に感じられたし、
当時の腐敗したロサンジェルス市警への徹底的な批判と、事実を真摯に描きたいという姿勢があった。

女手ひとつで育てた息子が行方不明となり、5ヶ月の失踪の後、
帰ってきた息子がまったくの別人だったことから、
本物の我が子を取り戻すため、捜査ミスを犯した警察の非道な圧力に屈することなく、
真実を追及していくシングルマザー、クリスティン・コリンズ。
当時職業を持つ女性として責任ある立場を任される人は、アメリカでもまだまだ少なかったはず。
彼女を演じるのがアンジェリーナ・ジョリーなのだけれど、彼女の抑えていながらも強い演技が光る。
マイケル・ウィンターボトムとの『マイティ・ハート/愛と絆』でも思ったけれど、
アンジェリーナ・ジョリーはいい監督、いい役柄と出会うと、その演技力を遺憾なく発揮できる女優だと思う。
他にもジョン・マルコビッチやジェフリー・ドノバン、ジェイソン・バトラー・ハーナーらの演技もすばらしい。
それにしても当時のロサンジェルス市警の腐敗体質は相当なものだったようだ。
警察に自分の息子に仕立て上げられた子供を、「自分の子供ではない」と発言すると、
「あなたはノイローゼ」、「子供の育児を放棄したがっている」などのレッテルを貼り、
都合が悪くなると被害者であるはずの彼女を、なんと精神病院にまで入れてしまう。
そこには同様に警官に対する不都合な発言、行動を取った女性が多く収容されていた。
そして後半、ある犯罪者の登場によって物語は大きな展開を見せる。
クリスティン個人の戦いは、協力者や、次第に周囲を巻き込んで大きな流れになり結末を迎える。

個人の生活、安全、小さくもささやかな幸せが簡単に破壊されること、
それは簡単に起こりうること。しかし、強さを失ってはならない。
そう、クリント・イーストウッドに諭されている気がした。
ヨーロッパの民話を元にした、チェンジリング(取替え子)というタイトルも絶妙。

changeling 001.jpg
changeling 002.jpg

CHANGELING
チェンジリング
2008/USA/142min

監督:クリント・イーストウッド
脚本:J・マイケル・ストラジンスキー
撮影:トム・スターン
プロダクションデザイン:ジェームズ・J・ムラカミ
衣装デザイン: デボラ・ホッパー
編集:ジョエル・コックス/ゲイリー・ローチ
音楽:クリント・イーストウッド
出演:アンジェリーナ・ジョリー/ジョン・マルコヴィッチ/ジェフリー・ドノヴァン/コルム・フィオール
ジェイソン・バトラー・ハーナー/エイミー・ライアン/マイケル・ケリー/ピーター・ゲレッティ
デニス・オヘア/コルビー・フレンチ/ジェフ・ピアソン/リリー・ナイト


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コメント 6

今造ROWINGTEAM

アンジェリーナ・ジョリーが大好きな私ですが、
これは観ていませんでした・・・。

とても興味を持ったので早速観てみたいと思います!^^
by 今造ROWINGTEAM (2010-07-07 15:27) 

movielover

>>今造ROWINGTEAMさん

コメントありがとうございます。
とってもいい作品なので、ぜひご覧になってください!!
by movielover (2010-07-08 14:54) 

ジジョ

アンジーは、こういう芯の強い女性ハマりますね〜。
イーストウッドの手腕もお見事な作品でした☆
しかし、、これが実話って。。。怖いですよね、、
by ジジョ (2010-07-09 19:10) 

movielover

>>ジジョさん

ホントですね。
アンジー=やっぱり戦う女性が似合います。

そしてこれが実話だなんて…恐怖です(汗)。

by movielover (2010-07-10 02:44) 

figaro

子育て経験がなくても、数ヶ月ぶりに会った甥っ子や姪っ子を
しっかり覚えているのに、女でひとつで大切に育てた子供を
間違えるはずが無い。
「あなたが間違ってる」「この時期は成長が早い」とか、
最終的には育児放棄やノイローゼと決め付けて
精神病院送りのところ、ゾッとしました。
アンジー演じるクリスティンが強い女性だったのも
警察からしたら気に入らなかったのかなとも思いました。
「女は言う事をただ聞くだけでいいんだ」的な・・・。
あと、自分達の間違いを認めたくない腐った体質。
クリスティンが生涯ウォルターを探し続けたというのが泣けます。
by figaro (2010-07-11 23:31) 

movielover

>>figaroさん

強い女性は嫌がられますよね。
いつの時代も(笑)。

クリスティンの強さ、見習いたくなりました。

現実に自分の身におこったら耐えられないような気もしますけど(汗)。
by movielover (2010-07-12 12:42) 

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