So-net無料ブログ作成
検索選択

"CASSANDRA'S DREAM"-ウッディ・アレンの夢と犯罪(2007) [movie-c]

「ウッディ・アレンの映画は嫌い。もてない男の言い訳だから」

その昔、何かで読んだ台詞だけれど、
読んだ瞬間いい得て妙、と思ったこの台詞。
それから何作も彼の作品を観たけれど、
この台詞から感じた強い印象はずっと変わらない。
興味深いし面白いのに、なぜか心底好きにはなれないウッディ・アレン監督作品。

けれど、「マッチポイント」「タロットカード殺人事件」と続くロンドン三部作の最後を飾る本作は、
そんな「もてない男の言い訳」的作風から一線を画す味わい。

とりあえず、キャスティングが絶妙。
ロンドンのとある労働階級ファミリーの兄弟に、
ユアン・マクレガーとコリン・ファレル。
CASSANDRA'S DREAM 001.jpg
これだけでこの映画の大半は成功したと言ってもいい。
実際、彼らのキャラクター作りはとても巧妙。
ホテル業界での華やかな成功を夢見る、頭のいい兄の役にユアン、
自動車の整備工と言う職業で地道な安定した生活の中に幸せを見出そうとするのに、
酒とギャンブルで身を持ち崩す、単純で愛すべき弟の役にコリン。
徹底したウッディ・アレン流リアリズムに裏打ちされた、
ギリシャ悲劇的かつ繊細な物語で、構成もしっかりしている。
CASSANDRA'S DREAM 002.jpg
金銭的に追い詰められ、頼った裕福な叔父に逆に殺人を依頼され、
抜き差しならない状況に陥った兄弟の心理描写や、
ユアンが惚れた女のために偽りの「できる男性像」をでっちあげるところや、
小市民的幸せを求めているのに、なぜかうまく回らず彼女を心配させてしまうコリンの苦悩など、
針の穴を通すくらい細かいところまで気を使っている演出も、ウッディ・アレンならではの味わい。
ちなみに原題のCASSANDRA'S DREAMはコリンが大勝ちしたドッグレースの勝利犬の名前で、
カッサンドラとはギリシア神話に登場するイーリオス(トロイア)の王女。
悲劇の予言者として知られ、イタリア語でカッサンドラとは「不吉、破局」を意味するという。
ウッディ・アレンのなんとか、という邦題には食傷気味だし、原題の方がなんか洒落てると感じるのは私だけでしょうか。
CASSANDRA'S DREAM 005.jpg
CASSANDRA'S DREAM 004.jpg

ただ、あえてそういう結末にしたのだろうと思うけれど、
たどり着いた結末が、案外想像に難くない、あっけない逆転劇で、
ウッディ・アレンが人生の不条理をいとも簡単に処理してしまっているところに、少しだけ違和感を感じ、
それでもラストカットの淡々とした感じは悪くないなと思った。

もし、私が彼らなら、一体どうしたかな。
CASSANDRA'S DREAM 003.jpg

CASSANDRA'S DREAM-ウディ・アレンの 夢と犯罪
2007/UK/108min

監督:ウディ・アレン
脚本:ウディ・アレン
撮影:ヴィルモス・ジグモンド
音楽:フィリップ・グラス
出演:ユアン・マクレガー/コリン・ファレル/ヘイリー・アトウェル/サリー・ホーキンス
トム・ウィルキンソン/フィル・デイヴィス/ジョン・ベンフィールド/クレア・ヒギンズ
nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:映画

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

メッセージを送る