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"UM FILME FALADO"-永遠(とわ)の語らい(2003) [movie-f]

世界最高齢と言ってもいいだろう、映画監督マノエル・デ・オリヴェイラの作品。
この作品の時すでに御歳95歳という高齢だったのだが、
その創作意欲はその後も衰えることなく、作品を発表し続けているという、
巨匠というかもはや仙人の域に達していそうなお方。

彼の作品の中でも印象に残っているのは、『階段通りの人々』という作品。
10年以上前に、彼という巨匠の存在も、傑作『アブラハム渓谷』の存在も知らなかった当時、
何となく深夜にやっていたのを録画して観た映画だった。
リスボンのとある街角を舞台に、市井の人々の人間模様を切り取った作品で、
限定された空間の極めてリアリスティックな話が題材なのにも関わらず、
夢のような雰囲気と力強さを持っていて、何となく私の心にこびりついて離れない作品となった。

そしてこの作品、"永遠の語らい"は、初めはオリヴェイラ流『ヨーロッパ遺跡探訪』の趣。
リスボン大学で教鞭をとる、若く美しい歴史学者ローザ=マリアとその娘マリア=ジョアナが、
ボンベイにいる夫に会いに行く船旅の途中、フランス、ギリシャ、イタリア、エジプト…文明のルーツを辿ってゆく。
カメラはその様子を淡々と映し出す。
港に船が着くたびに、街に出て、遺跡を見て、その遺跡について語って聞かせ、娘の疑問に答えるローザ=マリア。
そのポルトガル語の歌うような旋律。
淡々と、物語は進む。
次の街への到着、そして新しい場所への訪問。
主にこの母娘の穏やかな旅程を追うことで物語は展開を見せる。
穏やかな時間軸での展開。
途中、一転して、クルーザーの中での夕食風景、
カトリーヌ・ドヌーヴ演じるフランスの美人実業家と、ステファニア・サンドレッリ演じるイタリア人の元モデル、
イレーネ・パパス演じるギリシャの名女優、
そして彼女らの相手をするジョン・マルコビッチ演じる船長が、
それぞれの母国語で彼らの文明に対する持論を展開しながらも、
お互いの意見をお互いが理解し合っている場面へと発展してゆく。
正直言って、興味のない人には退屈に感じられるかもしれない場面だけれど、
彼らの話していることを彼らの国籍から読み解いてゆくと、
非常に興味深い内容だったりもする。

そして船長と母娘が交流を持つ場面から、一転、
唐突にも感じられる演出が施されている、衝撃のラストへ。
前半の穏やかで哲学的で静的な件からは読み取ることすらできなかった、
あっけにとられるほどの展開と結末。
それは西洋文明全体へ向かって放たれる、
痛烈なオリヴェイラ流ブラックユーモアかもしれない。

ヨーロッパ文化に本気で興味があって、知的好奇心を満足させたい人におススメしたい作品。

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"UM FILME FALADO"
"UN FILM PARLE [仏]"
"A TALKING PICTURE"
永遠(とわ)の語らい
2003/POR=FRA=ITA/95min

監督:マノエル・デ・オリヴェイラ
製作:パウロ・ブランコ
脚本:マノエル・デ・オリヴェイラ
撮影:エマニュエル・マシュエル
出演:レオノール・シルヴェイラ/フィリッパ・ド・アルメイダ
ジョン・マルコヴィッチ/カトリーヌ・ドヌーヴ/ステファニア・サンドレッリ/イレーネ・パパス




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